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2018年第2回ネパール支援活動
(11月10日ー11月18日)【取材編】

  ネパール滞在中は支援活動だけでなく、現地の警察コミュニティーや学校関係者の方に対して取材を行いました。
 少しではありますが取材の内容をお伝えしたいと思います。

 

【警察事情】~犯罪は国家に対する不満か~

  ネパール国内では、2008年の王制崩壊時の混乱期と比べると治安は安定していますが、窃盗、強盗、薬物などの犯罪が多く、各学校へ情報をながしたり定期的にオリエンテーションなどを実施して防止に努めていますが大きな改善は得られていない様子でした。また、近年ではサイバーテロや、インターネット上で知り合った相手から被害を受けるなどこれまで想定できなかった類の犯罪が目立っています。

  また、最近では2歳や8カ月の女児が性的暴行を受ける事件も起きています。
警察側の考えでは、こうした犯罪は国家に対する不満や不平を主張するための手段になっているそうです。
  ネパールでの警察の課題として、通信レベルと捜査能力の低さが挙げられます。通信に関しては、無線のつながりが悪かったり連絡系統がしっかりしていないため事件・事故が発生してから現場へなかなか急行できません。捜査能力に関しては、100日前に起きた強姦殺人事件で、被害者の衣服や体などが全て洗われていて被疑者につながる手がかりや痕跡が全て消されているため検挙できないという事例がありました。

 


取材に協力してくれた警察官2人

 

 

【学歴社会と教員事情】~子どもたちにとって重要な存在である教師の位置づけ~

  ネパールは高校卒業時の試験(SEE)の成績で将来就ける職業が決まり、高ランクがサイエンス分野、次いでマネージメントですが、教師となるために専攻する教育分野は最下位に位置付けられています。
   教育分野を専攻する場合、ネパール語、英語、社会科の評価がD以上であれば数学はE(Fail)でも認められます。当然、教育専攻を卒業しても公立学校の教師になるためには年に1度行われる政府の試験に合格して資格を取得しなければなりませんが、国の未来を担う子どもたちを教育する職業に求められるのが最下位の成績であるということには衝撃を受けました。
   一方私立学校の教員は実績が相当重視され、学校側からヘッドハンティングされることもあります。日本と同様に公立よりも私立の方が教育レベルが高いと考えられているのはこうした背景があるからではないでしょうか。一方で、私立は生徒のケアが充実しているため生徒自身が甘えてしまいがちになるという難点もあります。公立では生徒は学校へ期待せず自力で勉強しなければならないことを身に染みてわかっているため、SEEの成績は公立の方が良いことも珍しくありません。

 

            
(左)ナモ・ブッダ村 公立シュリー・ハヌマン学校:取材に協力いただいた校長先生
(右)学校の生徒

 

 

【ある私立学校の取り組み】~子どもたちに良い教育を~

  ネパールの学校では、校長は授業を担当の教員に任せて放置していることが多いそうですが、訪問した私立ヒムシーラ学校の校長先生は自分の経験と知識を生かして生徒全体への指導や教育方法の改善に努めており、自ら数学と理科の教鞭を取ることもあります。そうすることでどの生徒がどの程度理解でき、またどこに躓くのか、何が好きで何が嫌いかを見極めることができ、より分かりやすい授業を目指すことができると話していました。また、校長は早朝5時に出勤して学校の改善方法を考えており、朝早く出勤することは他の先生が勤務態度を改めるきっかけにもなると考えています。
  また、ネパール全体の学校、特に公立学校では軽視されがちな体育の授業の価値を理解し、カリキュラムに取り入れています。週に2回体育の授業を実施し、毎朝15分ほど体操の時間を設けています。学習の前にエクササイズを取り入れることで集中力や記憶力が増し健康維持にもつながると考えているからです。また、生徒の中には卒業後スポーツの道に進みたい子もいるのでその夢に近づけるようにという目的も兼ねています。

 

  本来、多くの私立学校では入学してすぐ3カ月分の授業料を払わなければならないため経済力のない家庭の子どもの入学を認めていませんが、同校は保護者と面談をすることでどんな家庭の子どもも入学できるように尽力しています。例えば、1家庭に6人以上子どもがいる場合はそのうちの3人の授業料を免除しています。同校の考えでは、女子生徒の方が男子生徒に比べて立派な教育を受けさせてもらえにくいという理由から女子生徒への支援を充実させています。ただ、生徒への支援を手厚くしている反面学校の経営状況は厳しく、教員やスタッフへの給料を数カ月間支払えていません。

 

 
(左)カトマンズ 私立ヒムシーラ学校:校長先生へのインタビューの様子
(右)学校の生徒たち

 

【「里親プロジェクト」の支援対象施設 ライジングロータスの子どもたちが通う私立学校の実情】

  “Green Village Education Foundation” はライジングロータスで暮らす子どもたちが通う私立学校です。保育園から10年生までの学生約800人が在籍するマンモス校で、地区内の名門校として3年連続トップ校に輝いた実績があります。同校は上質な教育を与えることを最優先しており、SEEをGPA3.8でパスした優秀な生徒も輩出しているため入学希望者が非常に多いです。また授業は座学だけでなく実践を交えた教育をベースにしていて、生徒が主体的に授業に参加することで一人一人が理解することを目指しています。授業を見学させてもらった際も理科の授業では、生徒たちが校庭へ出て糸電話の実験をしていました。また、どのような教員を選ぶかも大切にしていて、教員の内面を踏まえ学校の方針に共感できる人材を雇っています。

 

  ライジングロータスの子どもたちは相当田舎の地域出身の子が多く、学校に来たばかりの頃は手や顔の洗い方が分かっていないなど生活の基礎が成っていませんでした。それを一つずつ覚え、努力も続けて高成績を維持できるようになりました。卒業したばかりのスージャン・タパは、施設に来たばかりの頃は母国語であるネパール語すらまともに話すことができなかったそうですが、GPA3.8という高成績を修めました。施設の他の子どもたちも学業だけでなく課外活動や貧困地域への社会福祉活動にも積極的に参加していて他の生徒のお手本になる行動が評価されていました。

 

ライジングロータスの子どもたちが通うGreen Village Education Foundation
 
(左)朝礼の様子
(右)SEEの好成績者の看板

 

         
(左)糸電話で学ぶ理科の授業
(右)祝福を受けるスージャン・タパ

 

【「里親プロジェクト」の支援対象施設 ライジングロータスの子どもたちの1日に密着】

  前回の訪問では子どもたちの休日の生活を密着取材しましたが、今回は学校生活に密着しました。

  施設にスタッフ2人が1泊させていただきましたが、この時期のネパールはとても寒く施設の部屋の作りも十分でないため朝と夜は非常に冷えました。子どもたちは毎日この寒さで過ごし、シャワーも水ということを考えるととても過酷な生活だと思いました。

 

  1日の始まりは早く、上級生は6時頃から朝学習のための登校準備をします。下級生も徐々に起き出し勉強を始めます。
  起床から登校までの過程では整理整頓や準備がしっかりされており、上級生が下級生を指導する場面もありました。子どもたちはみんなで一緒に生活する中で自然に助け合うことができ、施設側の教育もしっかりなされているのだと感じました。

 

整列して登校する子どもたち

 

子どもたちの様子はこちらをご覧ください!
2018年11月ネパール支援活動 ライジングロータスの子どもたちの生活

 

 

【活動編】 ⇒ https://bit.ly/2C1t3gY